夏のオトシゴ

夏と言えば恋の季節、と言い切っていいくらい恋愛向きの季節です。
実際、夏休みに入ると、花火や海といったイベントが目白押しで、恋愛沙汰に縁遠い人にもチャンスが訪れる機会がたくさんあります。

夏のオトシゴ(著:アイスピック)では、恋愛に縁遠かった一ノ瀬さんの恋事情が描かれています。
一ノ瀬さんは実かかなりの美人の部類なのですが、恋愛どころかお洒落にも興味がないのでクラスでの認知度はイマイチです。
ところが、見ている人はちゃんと見ているんですね。
ある夏の日に一ノ瀬さんに告白する人が現れます。
相手は同じクラスの生徒ですが、こちらも目立たない人です。
そういう意味では二人の相性は抜群だったのかもしれません。

ふたりは夏の間に絆を深め、最も信頼できる相手になっていきます。
実際、お互いに相手の事を考えて、相手の生活や友人関係を壊さない様に良く配慮しています。
ある意味一ノ瀬さんは最高のパートナーを手に入れたと言っていいでしょう。
ところが、このまま終わらないのが歯がゆいところでしょうか。

相性ばっちりの二人の間を切り裂く邪魔者が現れます。
この男こそ夏のオトシゴの元凶であり、ある意味最低な男です。
ちなみに、オトシゴの意味を調べると”落とし子”、つまり父親に認知されない子の事です。
ここまで見れば、この後の一ノ瀬さんの運命も大体想像がつきますよね。

一ノ瀬さんはこの最低男に寝取られて夏のオトシゴをやられてしまうのです。
もちろん、このことは一ノ瀬さんに告白した相手は知りません。
知っていれば力ずくでも止めていたかもしれませんが、相手の生活を壊さないようにする互いの配慮がアダとなってしまったのです。
一ノ瀬さんは付き合っている男にも話せないどころか、隠し事をしないといけなくなってしまいます。
こうなってしまうと、今まで通り二人が付き合っていけるのかどうかさえ危ぶまれてしまいます。
夏のオトシゴは一ノ瀬さんが絶望の淵に足を踏み込んだところで終わっています。
つまり、ここから先の一ノ瀬さんの運命は読み手の想像に託されているわけですが、ロクなことにならないことは簡単に想像がつきます・・・